「ゼロカロリーだから体にいいはず」——そう思って、人工甘味料入りの飲料やお菓子を選んでいませんか?私自身、健康やダイエットを意識して、砂糖の代わりに人工甘味料入りの商品を手に取ることがよくあります。
でも2025年、その選択を見直したくなるような研究結果が発表されました。米国神経学会の学術誌「Neurology」に掲載された、8年間・約1万3千人を追跡した大規模研究です。今回はこの研究内容を、できるだけ正確に、かみ砕いて解説していきます。
数字を扱う仕事をしている身としては、「観察研究」と「因果関係」を混同した情報がSNSで広まりがちなのも気になるところ。今回は研究が実際に何を示していて、何を示していないのかを、できるだけ正確に整理します。
人工甘味料とは?アスパルテームやスクラロースも対象

人工甘味料(低・ゼロカロリー甘味料)とは、砂糖の代わりに甘さを出す添加物のこと。ダイエット飲料やノンシュガーのお菓子、ガムなど、私たちの身の回りの食品に幅広く使われています。
今回の研究で対象になったのは、次の7種類です。
- アスパルテーム(ダイエット飲料などでおなじみ)
- サッカリン
- アセスルファムK
- エリスリトール(羅漢果由来の製品などにも使われる)
- キシリトール(ガムの成分としてよく見かけますよね)
- ソルビトール
- タガトース
どんな研究?対象と方法をチェック

この研究では、ブラジルの公務員12,772人(平均51.9歳、女性54.8%)を対象に、2008年から約8年間追跡調査を行いました(ELSA-Brasil研究)。食事アンケートから甘味料の摂取量を計算し、6つの認知機能テストの結果と照らし合わせたそうです。ちなみに、対象者の甘味料摂取量は平均92.1mg/日でした。
60歳未満で認知機能の低下が速かった
結果を見てみると、60歳未満の参加者のうち、甘味料摂取量が最も多いグループでは、言語流暢性(言葉をスムーズに思い出す力)と全般的な認知機能の低下が、他のグループより速く進んでいました。
一方、60歳以上の参加者では、こうした関連は見られなかったそうです。年齢によって結果が変わってくるのは、この研究の興味深いポイントだと思います。
甘味料の種類別に見た影響

個別に見ていくと、アスパルテーム、サッカリン、アセスルファムK、エリスリトール、ソルビトール、キシリトールの摂取が、特に記憶力・言語流暢性の低下と関連していることがわかりました。
さらに、糖尿病があるかどうかでも、影響を受ける領域が違ってきます。糖尿病がない人は言語流暢性・全般的認知機能に、糖尿病がある人は記憶力・全般的認知機能に、それぞれ関連が見られました。
この研究をどう受け止めるべきか:因果関係ではなく「関連」
ここで一つ、大事なことをお伝えしておきたいです。この研究は「人工甘味料が認知機能低下の原因だ」と証明したわけではありません。あくまで摂取量と認知機能低下の「関連」を示した観察研究であり、因果関係までは証明できていないのです。
研究チーム自身も、こんな限界を挙げています。
- 食事内容がアンケートによる自己申告データであること
- 追跡期間中に脱落した参加者がいることによる、選択バイアスの可能性
- 運動習慣や食生活全体など、ほかの生活習慣による影響を完全には排除しきれないこと
一つの研究結果だけで、必要以上に心配する必要はありません。「今後さらに検証が必要な、注目すべき知見」くらいに捉えておくのがちょうどいいはずです。
今日からできる対策:人工甘味料との付き合い方
- 人工甘味料入りの飲料・食品を摂る頻度を、一度見直してみる
- 特に60歳未満で日常的に多く摂取している場合は、量を意識してみる
- 天然由来の甘味料や、砂糖そのものとバランスを取る
- 加工食品の成分表示をチェックする習慣をつける
まとめ
「ゼロカロリーだから安心」と思われがちな人工甘味料。でも8年間・約1万3千人を追跡した今回の研究では、特に60歳未満の方で認知機能低下との関連が示されました。因果関係が証明されたわけではないので、過度に不安になる必要はありません。
私自身も、この記事を書きながら普段の甘味料の摂取量を見直すきっかけになりました。まずは自分がどれくらい摂っているかを知ることから、始めてみてはいかがでしょうか。
FAQ(よくある質問)
- Q1:人工甘味料は絶対に避けるべきですか?
A1:この研究は「関連」を示したもので、因果関係が証明されたわけではありません。避けすぎる必要はありませんが、摂取量を意識してみる価値はありそうです。 - Q2:どの人工甘味料が特に関連が指摘されていますか?
A2:アスパルテーム、サッカリン、アセスルファムK、エリスリトール、ソルビトール、キシリトールの摂取で、記憶力・言語流暢性の低下との関連が報告されています。 - Q3:60歳以上の人は気にしなくていいですか?
A3:今回の研究では60歳以上で有意な関連は見られませんでした。ただしこれは「安全」を証明したわけではなく、今後の研究が待たれるところです。 - Q4:スクラロースは今回の研究対象に含まれていますか?
A4:今回の研究対象はアスパルテーム、サッカリン、アセスルファムK、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、タガトースの7種類で、スクラロースは含まれていません。 - Q5:糖尿病がある人は特に注意が必要ですか?
A5:この研究では、糖尿病がある人は記憶力・全般的認知機能の低下、ない人は言語流暢性・全般的認知機能の低下との関連が見られました。糖尿病の有無にかかわらず、摂取量を意識してみるといいかもしれません。
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参考文献
- Gonçalves NG, et al. Association Between Consumption of Low- and No-Calorie Artificial Sweeteners and Cognitive Decline: An 8-Year Prospective Study. Neurology. 2025;105(7):e214023. https://doi.org/10.1212/WNL.0000000000214023

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